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ガチガチだった紀平と坂本。悔しい今季最後の演技は進化の糧に (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「ショートが終わった次の日は、体がガチガチで動かなくなっていました。でも、今日はその時よりだいぶましになって自信を取り戻してきたんですが、万全の状態に自分を合わせることができなかった。もっと早めに手を打ってケアをすればよかったと思います」

 そう反省する紀平は、後半の3回転ルッツ+3回転トーループでも、少し力みが出てセカンドのトーループの軸が傾いてしまい、転倒。今季の彼女からすれば、珍しいシーンだ。

 得点は138.37点。グランプリシリーズフランス大会よりも0.09点高いだけで、今季2番目に低い得点の5位と、想定外の結果に終わった。おそらく、気持ちが少し引き気味になっていたことも影響したのだろう。

紀平はトリプルアクセルで転倒。得点を伸ばせなかった紀平はトリプルアクセルで転倒。得点を伸ばせなかった「あの3-3は、練習からあまりうまくいってなかったので思い切り跳んだけど、脚がちゃんと締まっていなかったのだと思います。練習でも一番ミスの多い難しいジャンプだけど、どんな状態になってもそれを決めなければいけないと思いました。トリプルアクセルで転倒したあとは落ち着いてできていたので、『体力的にけっこうキツいな......』という面でのミスだったのかもしれない。大きな試合でも、自分の体調と感覚をリンクにしっかり合わせていかなければいけないな、と思いました」

 シーズン最後のこの大会では、外国勢はあまりプレッシャーもなく臨んでいるように見えた。しかし、日本勢は地元開催でチーム戦ということもあって、緊張感も高かったのだろう。坂本と紀平はともに、SPでは納得の演技をしながらも、シーズン最後となるフリーではミスが出る悔しい滑りに終わった。

 だがそれは、グランプリファイナル制覇という勲章を得た紀平にとっても、全日本優勝という結果を残した坂本にとっても、来季へ向けて気持ちを引き締めるうえでよいきっかけになったはずで、進化のための糧になった、とも言えるだろう。

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