紀平梨花、シニア1年目「トリプルアクセルで
大変な毎日」を振り返る

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

世界選手権では総合4位。すでに来季へ目を向ける紀平梨花世界選手権では総合4位。すでに来季へ目を向ける紀平梨花 シニアデビューした紀平梨花の今季は、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に始まり、トリプルアクセルに終わったといっても過言ではない。トリプルアクセルを中心に据えたその戦い方は、まさにハイリスク・ハイリターン。女子としては高難度の大技だけに、シニアで試合にしっかりと組み込んで戦った選手は、紀平のほかは元世界女王のエリザベータ・トゥクタミシェワだけだった。

 トリプルアクセルを伝家の宝刀と言えるレベルにまで習得できたのは、紀平のフィギュアスケートに向かう真摯な態度があってこそ、だろう。それぐらい、努力を惜しまない姿勢で練習に取り組んできた。多くの選手が感覚でジャンプを跳ぶと言われるが、紀平は頭を使って跳んでいる。とくに今季は、自分の体の筋肉の状態に神経を使い、睡眠や食事にも気を配るストイックさを見せて研ぎ澄ませてきた。

 シニアに転向するにあたり、今季は「ショートプログラム(SP)とフリーで必ずトリプルアクセルを跳びたい」と、自身に言い聞かせるように誓った。その熱い思いは、シーズン初戦となったオンドレイネペラ杯のSPから、シーズン最後のフリーまでぶれることはなく、積極果敢にトリプルアクセルに挑み続けた。

「今シーズンはトリプルアクセルのことを一番に考えたり、トリプルアクセルがなかなかはまらなかったり、練習でトリプルアクセルを(ずっと)やったほうがいいのか、ほかのことをやったほうがいいのか......練習時間が足りないくらいで、毎日、何(の技)からやっていけばいいのかという気持ちもあった。

 トリプルアクセルをやることが大変な毎日でしたけど、取り組んできたすべてのことが力になったので、信じてやってこられてよかったです。これからはもっといい成績を出さないといけないという気持ちもあるので、来季こそ、必ずSPでトリプルアクセルをしっかり成功させる練習をたくさんしていきたいと思います」

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