2018.11.09

冷静すぎる宇野昌磨、NHK杯への決意。「自分の演技をすれば結果は出る」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 昨シーズン初戦、宇野昌磨はロンバルディア杯でショートプログラム(SP)、フリー共に自己最高得点を更新する319.84点を出しながら、「練習の裏付けがないから、たまたま出た結果です」と納得していなかった。

 そして、平昌五輪銀メダリストとして臨む今季、初戦のロンバルディア杯で3連覇を達成したものの、SPは連続ジャンプを4回転+2回転に抑え、フリーは4回転ジャンプでミスが続いてトリプルアクセルでは転倒。新ルールで276.20点と、少し波に乗り切れないスタートに見えた。

 だが本人は、「世界選手権であまりいい演技ができなかったからなのかわからないですが、今年のオフはケガが少なかったので練習に集中できている」と、その結果を受け入れて、自らの状態を把握していた。

 続くフリーの演技のみで争ったジャパンオープンでは、「4回転ループは抜けることが多いので精神的なストレスがある」と冒頭のジャンプを4回転サルコウに変えたが、その4回転サルコウをステップアウトして、次の4回転フリップでは転倒。それでも、ロンバルディア杯より高い186.69点を獲得した。

「よかったかと聞かれると答えづらいですが、今年は例年よりいい調整ができていますし、シーズン初戦から自分の演技ができている。今回もコンディションどおりの演技だったので、よかったと言えると思う」と、冷静に自分の演技を振り返っていた。

初出場となるNHK杯で優勝を狙う宇野昌磨 宇野は、グランプリ(GP)シリーズ初戦のスケートカナダでも冷静な姿勢を崩さず、SPはトリプルアクセルで転倒したものの2位発進。フリーでは終盤のふたつの連続ジャンプで転倒したが、昨季まで「加点をもらえない」と課題にしていた4回転フリップでGOE(出来ばえ点)3.77点の加点をもらい、力強い滑りで188.38点を獲得。宇野らしさをしっかり見せて277.25点で大会連覇を果たした。

 そんな歩みを経て臨む今回のNHK杯は、意外にも宇野にとっては初出場の大会となる。11月8日の公式練習では、カナダから帰国後、しっかり練習ができていることを示すように、動きには力強さとキレがあった。

 宇野は「どの試合に向けても変わらないですが、常にプログラムを通してよりよい演技をすることを意識して練習をしています。今日は調子がとてもよかったですが、調子がいい時ほど試合では失敗して焦ってしまうことが多々あるので、そういうことに気をつけてやっていかなければいけないと思う」と静かな口調で話した。

 また、公式練習では午前、午後ともジャンプを跳ぶ回数は抑え気味だったが、午前のSPの曲かけでは4回転フリップと4回転トーループ+3回転トーループ、トリプルアクセルをきっちり決める調子のよさを見せた。