日本フィギュア、羽生欠場のなか「来季の世界選手権」3枠獲得なるか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直/JMPA●撮影 photo by Noto Sunao/JMPA

 田中は平昌ではショートプログラム(SP)を80.05点で20位と出遅れ、合計は244.83点。ただ仮に、彼が今年1月の四大陸選手権で出している自己ベストの260・31点を平昌で出していれば10位になっていた。また、羽生ら有力選手が欠場した今大会、自己ベストで田中よりも高い得点を出しているのは宇野の319.84点を筆頭に、五輪には出ていなかったマックス・アローン(アメリカ)の261.56点までの7人となる。

 つまり、田中がその力をきっちり発揮すれば、8位には入れる計算になる。そのためには、SPで自己最高の90・68点前後の得点を確実に出す必要があるだろう。

 男子3人目の友野は、18日までのプランタン杯からの連戦ながら、練習での動きは軽く、キレはある。しかし、これまでの自己最高が231.93点ということを考えると、10位前後は難しいだろう。やはり枠を3つとれるかどうかは、田中の出来にかかってくる。

 20日夜のメインリンクでの公式練習では、宇野のライバルとなるチェンの調子はいまひとつ。だが、次のグループで登場した宇野も5分ほど軽く滑っただけでリンクを上がり、右足首にアイシングをしてスタッフに背負われてホテルに帰る状態だった。宇野本人は笑顔を見せて「大丈夫です」と口にしてはいたが、どうなるかわからない状況で、3枠の黄信号が赤信号になる可能性も出てきた。

 一方、宮原知子と樋口新葉が出場する女子は、3枠復活の可能性が高くなっている。

表彰台を狙う宮原知子表彰台を狙う宮原知子 その理由のひとつに、平昌五輪の結果がある。230点台のハイレベルな戦いをしたロシアのアリーナ・ザギトワとエフゲニア・メドベデワ、ケイトリン・オズモンド(カナダ)に敗れたとはいえ、宮原はSP、フリーともに自己最高得点を出す222・38点で4位。そして坂本花織も209.71点で6位になっているうえ、7位のチェ・ダビン(韓国)には10点以上の差をつける結果だった。得点的には、そこで大差がついている状況であり、世界選手権でもその構図が大きく変わることはないはずだ。

 今回の世界選手権に、女子は平昌五輪出場の坂本ではなく、樋口が出場する。枠取りがかかる大事な試合に彼女を選んだのは、昨季の世界選手権に出場しており、今季も前半戦でしっかり結果を出して、グランプリ(GP)ファイナル進出を果たした実績と経験があるからだろう。

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