負傷の羽生結弦。復帰時は
限界マックスでなく「その時できる最高」で

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 NHK杯競技前日の11月9日午後の公式練習。午前中の公式練習を体調不良で休んでいた羽生結弦の動きにはキレがなかった。間を置きながらジャンプを跳び始めたが、トリプルアクセルを決めたあとに挑戦した4回転ループは2度続けて転倒。曲かけは最後の6番目ということもあったのか、いつもより気持ちが入りきっていないようにも見えた。

 4回転サルコウで3度パンクを繰り返したあとに、やっと力みのないジャンプになって4回転サルコウ+3回転トーループを2回続けて決めたものの、あまり調子がよくないなかで演技をどうまとめられるかが、今年のNHK杯の注目点になると思わせる状態だった。練習で負傷し、NHK杯欠場となった羽生結弦練習で負傷し、NHK杯欠場となった羽生結弦

 だが、そんなコンディションでも、羽生は4回転ルッツに挑み始めた。一度はパンクし、そのあとで跳んだジャンプは完全に軸が斜めになっていた。そして回転不足で着氷すると、ブレードが氷に突き刺さる形になって転倒。そのまま氷上に倒れ込んだ──。

 羽生は、一度は練習に復帰したものの、しばらくしてリンクから上がると、そのまま練習を終えた。ケガの診断結果は、右足首外側の靱帯損傷。結局、NHK杯を棄権することになってしまった。

 この結果、5連覇を狙っていたグランプリ(GP)ファイナル出場は消滅し、12月21日からの全日本選手権出場へ向けて、治療と調整をしていかなければいけなくなった。

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