浅田真央の師、佐藤信夫コーチが語る「ものすごいスピン」とは? (6ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 両手と片足を伸ばして座って回っているわけじゃないですか。その体勢でスピードが落ちてくると、ちょっと伸ばしているほうのひざを曲げて、つま先の位置を中心に向かってちょっとずつ近づけながら、手もそれに合わせてちょっとずつ胸のほうに縮めていくのです。そうすると落ちた分のスピードをカバーできます。うまく縮め続けられたら、40~50回は平気で回っちゃう。ルシンダ・ルーはアップライトスピンで百数十回も回り、ギネスブックに載ったことがあります。

 最近の選手でいうと、例えばステファン・ランビエール選手はものすごいスピンをしていると思います。スピンの中で一番速く回ることができるアップライト系のクロスフットスピンを得意としていましたね。

 歴史的にスイスの選手はスピンがうまいんですよ。ビールマンスピンを編み出したデニス・ビールマンもスイス人。ルシンダ・ルーもそうです。理由はよくわかりませんが、おそらく伝統的に何かがあるのでしょう。

 これからどんなスピンが見られるようになるか。それはルール次第でもあります。現行のルールではすべての技が点数化されていますが、昔の6点満点の採点方式のときは、どんなにすばらしいスピンをやっても直接点数に関係していなかったんです。「ジャンプのレベルが非常に高く、出来具合もよかったので5.4にしようか。スピンもよかったので5.6にしようか。ステップもよかったので5.8にしようか......」というような総合評価だったので、スピンに熱を入れる人は非常に少なかったんです。

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