満身創痍の浅田真央。GPファイナルは逃しても「復活」の道は見える (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 練習に取り組んできたオフの期間から、左ひざをはじめ、痛みが伴う故障が体のあちこちに出てきており、浅田にとって満足のいく練習を積むことができていないという。とことんまで練習で突き詰めるタイプの選手だけに、その練習で調子を上げることができない状況に陥っていることの影響が大きいことは否めない。

 その証拠に、最も得意なジャンプである3回転フリップをしっかりと跳ぶことができていない。回転不足になったり、2回転になったりと、左ひざでタメを作って跳ぶフリップの3回転ジャンプがまともに入らないのだ。プログラム全体を通しても、しっかりと氷を蹴ることができていないのか、本来のスピードが見られない。そのために助走スピードが不足し、ジャンプの力強さが失われているようだ。

 15歳でシニアデビューを飾ってから10年。第一線で活躍し続けてきた浅田の身体状態は、スケートがまったくできないわけではないにしても、ある意味で満身創痍なのかもしれない。浅田のスケーティングやジャンプを基礎から見直して導き、未知の世界をともに進んできた佐藤信夫コーチはスケートアメリカの後、今季の浅田についてこんな話をしていた。

「今季はケガというよりも、ずっと使ってきた箇所にいろいろ故障が出てきて、十分に滑り込みができていない状態ですので、それがなんと言っても一番大きな不安材料です。ただ、何とか最後まで戦い抜けるように少し厳しい練習をしていかなければいけないと思っていますので、慎重の上に慎重に取り組んでいきたいと考えています。本人はやりたい気持ちがあるので、練習では無理をさせないようにうまくコントロールしていくことが必要で、その判断をずっとやってきました。

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