指導歴50年、佐藤信夫コーチが語る「浅田真央に継承された凄い技術」 (5ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 また、今回のアイスショー『THE ICE』を見て、あらためて浅田真央のスケートは「あっ、うまいな」と思いました。コストナーとはちょっと方向性が違うかもしれないけれども、真央には真央のよさがあります。

 そのエキシビションのプログラムの中で、真央が見せるあるターンがあるのですが、それを見ていて、昔、ジョン・カリーがプロになって一番最初にやったニューヨークでのアイスショーを思い出しました。真っ暗なリンクにピンスポットが当たる中でスーッと滑ってきて、真央が見せたようなターンを2~3周、やってみせました。

 そのカリーに仕込まれたのが、真央の振付師であるローリー・ニコルなんです。ローリーはコンパルソリーの練習をカリーからずっとやらされていたのです。その教えの一部が真央にも引き継がれ、繋がっているのです。やはりカリーは偉大なスケーターですよね。自分の教えが、教え子から教え子へと代を次いで受け継がれているのですから。カリーはローリーという人材を残し、そのローリーが世界のトップレベルの選手のプログラムを作っているわけです。

 真央の今回のエキシビションは、画期的で挑戦的だと評価していただいているようですね。僕はすでに1976年からあのような内容のプログラムを観ているので、画期的だとは思いませんが、現在もあのスケートに似たことができる人がいるということ自体、やはりとてもすばらしいことだと思っています。特に、最後のステップはうまいですし、ものすごいと言っていいと思います。

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