指導歴50年、佐藤信夫コーチが語る「浅田真央に継承された凄い技術」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha  岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 サークルを描くときに、スタート地点にグルッと回ってちゃんと戻ってこられるか。そのためにはどういう滑り方をすればいいのか。その技術がスケーティングには必要だということです。現在、競技会の種目ではなくなったコンパルソリーですが、知っておくほうがいいということだけは、半永久的に変わらないと思います。

 以前に行なわれていたサークルを描くような本格的なコンパルソリーというよりは、現行のルールに則った「コンパルソリー」を取り入れて、「こういうエッジやターンを覚えなさい」という複雑なステップを要求しているのが現在のフリースケーティングです。

 実際、今でもちゃんとした技術を習得しているコーチたちは、わずかだけど必ず選手に「コンパルソリー」やらせていますし、日本のバッジテスト(試合に出るために初級から8級までのレベル判定を行なう試験)にはコンパルソリーが残っており、セミサークル(片足で滑り、半円を描く)を行ない、その中にチェンジ・エッジやいろいろな種類のターンがテスト課題になっています。

 コンパルソリーの技術をしっかり身につけた選手が、スケーティングレベルを向上させていると感じることがあります。やはり正確なエッジを使うことによって、きれいな弧が生まれてきます。その美しさというのは、トレースを見て美しいというのではなくて、その動きに表れます。動きがとても正確で、とても美しいのです。無駄のない美しい動きというものは、絶対に残すべきだと僕は思っています。

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る