世界ジュニア王者の本田真凜。14歳の才能はどこまで伸びるか (2ページ目)

  • 野口美恵●取材・文 text by Noguchi Yoshie  能登 直●撮影 photo by Noto Sunao

 そして迎えた今季。ジュニアGPは2位と優勝でファイナル進出。ところが全日本ジュニアでは、緊張して6位。ジュニアGPファイナルは、堂々たる演技で銅メダル。乱高下を繰り返すシーズンだった。

 3月の世界ジュニアを前に、濱田美栄コーチと本田はどんなパターンのときに力を発揮できたのかを考えた。すると、タイトルとしては大きい海外試合のほうが成績はよく、国内戦はミスが多かった。

「勝ちたいと思った試合は、いつもダメ。国内の試合はつい(優勝を)狙ってしまうんです。全日本ジュニアは、ショートのときに『誰が優勝してもおかしくないな』と思い、狙ってしまい緊張しました。勝ちたい気持ちはあるけれどなるべく考えないようにしないと」

 同じように、濱田コーチも考えた。

「真凜は『勝ちたい』と考えてしまうと、勝てないタイプ。世界ジュニアでは、勝敗を気にしないでいられる状況を作らなければ......」

 そこで2人が編み出したのは、試合前の準備時間の使い方だった。

「いつもの練習はウォーミングアップを全然しないでやるのに、試合の前って2時間前に会場入りしてアップしたあとに、緊張していました。だから世界ジュニアは『練習どおり』って考えて、試合ギリギリに会場に来て、緊張する間を作らずにやってみよう、と思いました」

 濱田チームからは、白岩優奈も同大会に出場していた。白岩はコツコツと努力をし、きっちり計画を立てて準備するタイプ。そのため濱田コーチは、本田と白岩で違う本番前準備をさせた。

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