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世界選手権、まさかの2位。羽生結弦が語った悔しさと敗因 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 事実、羽生は昼の公式練習で、4回転ジャンプを跳んだあと氷上に残っている自分がジャンプに入った軌跡を確認することが何度かあり、それだけ彼も神経質になっていたのだろう。

「どんな大会の本番でも緊張するものですけど、今回はその緊張の質にうまく対応できなかったのだと思います。緊張をしたことで、あらためて世界選手権は大きな舞台だなというのをすごく感じましたし、すごくドラマがある舞台だなと。率直な気持ちを言うと、やはり、この舞台で金メダルを獲れないようではまだまだだな、と感じています」

 自分を納得させようとするかのように、こう話した羽生。彼にとって幸いといえるのは、昨年のNHK杯とグランプリファイナルで300点超えを連発し、「次は自分の記録との戦いになるかもしれない」という状況が、今回、完璧な演技で314・93点を出したフェルナンデスや、2月の四大陸選手権フリーで200点超えを果たしたチャンが、羽生に迫ってきていることで変化していることだ。

 それはつまり、「少しでもミスをすれば負ける」という緊張感を持てる状況。彼らのような激しく競り合うライバルがいることが、羽生にとってさらなる進化を希求する大きな原動力になるはずであり、この先、ひとり孤独に高みへ進むのとは違う、大きなエネルギーを秘めていると言えるのではないだろうか。

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