【フィギュア】ジュニア選手権、初優勝・宇野昌磨ら「次世代」が躍動 (2ページ目)
しかし翌日のフリーは、別人のようにジャンプが決まらなかった。4回転トーループを2本と、トリプルアクセル、3回転ルッツの計4回も転倒し、持ち味の演技力も見せ場がなかった。それでも得点は128.00点で全体の2位につけ、ショートの貯金を使っての優勝を飾った。
「まだ練習でもジャンプが全部決まることはない。跳べるようになった事が嬉しくて難しい構成にして、試合なら気合いで降りられるかと思っていたが、そういう考えが甘かった」と肩を落とした。
実際のところ、男子ジュニアで優勝のおおよその目安は、国内ならトリプルアクセル1本、世界ならトリプルアクセル2本か4回転1本といったところ。宇野の「4回転2本、トリプルアクセル2本」という構成にかなり無理があったとも言える。
「12月のジュニア・グランプリ・ファイナルに向けては、もう一度ジャンプをしっかりやり直して、練習からちゃんと成功しているという状態で臨みたい」
2位につけたのは、いまジュニアで最も成長株の14歳、中学3年生の山本だ。トリプルアクセルはまだ不安定だが、ほかの3回転ジャンプには安定感がある。ミスしても崩れない負けん気の強さと、感情を身体全体で表現する踊りなど、他の選手が努力しても手に入れられないセンスを持っているのが魅力。ジュニアグランプリでは2大会連続2位となってファイナル進出を決めている。
山本の精神力の強さは、フリーで表れた。約15点差での2位に、ふつうなら諦めてしまいそうなところだが、闘志が燃えたぎっていた。冒頭のトリプルアクセルは転倒したが、そこから諦めずに残る7つのジャンプをすべてクリーンに着氷。フリーは134.69点で首位、総合202.50点で200点台に乗せた。宇野には及ばなかったが、気持ちの強さではピカイチだった。
「宇野くんのミスが多かったのをみて、自分がノーミスでいけば、優勝できるんじゃないかと思った。最初のトリプルアクセルは失敗したけれど、まだまだ行けると思って跳びに行った。悔しさはジュニアのグランプリファイナルにぶつけたい」と力強く言い切った。
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