層が厚い日本男子フィギュア。羽生結弦に続くのは?
昨シーズン、羽生結弦が五輪と世界選手権、グランプリファイナルの3冠を獲得した。日本男子ではほかに、2月のソチ五輪で町田樹が5位で髙橋大輔が6位、3月の世界選手権では、町田が羽生と接戦を演じて2位になり、髙橋の代役で出場した小塚崇彦が6位と層の厚さを見せつけた。今シーズンは織田信成が引退して髙橋は休養するが、世界をリードする勢いは変わらないはずだ。
その牽引役を果たすのは、もちろん羽生だ。世界選手権終了後から、「次のシーズンこそが重要。五輪王者らしい演技を見せて評価を確立したい」と話す。タイトルを独占したから目標がなくなることはなく、誰からも「さすがに五輪王者」と思われるような演技をすることをモチベーションにしている。
だからこそ「タイトルにもこだわりたい」と話していた羽生だが、それ以上に今季は、2018年平昌(ピョンチャン)五輪へ向けて、さらなる進化のための重要なシーズンと考えている。その思いが、プログラムの演技構成を昨シーズンよりはるかに難しいものにしたことに表れている。
ショートプログラム(SP)では得点が高くなる後半に4回転トーループを入れ、それだけではなく、3回転+3回転の連続ジャンプも入れる構成。さらに、自ら「表現が難しい」と言うクラシックのピアノ曲であるショパンの『バラード第1番ト短調』をSPの曲に選び、表現力の幅をつけようしている。また、スローテンポで始まる曲であるため、「昨シーズンの『パリの散歩道』のようにガリガリいく滑りはできないので、滑らかで静かな滑りをしなくてはいけない」と、スケーティング技術も高めようとしている。
フリー『オペラ座の怪人』ではシェイリーン・ボーンの振り付けで新たな表現方法を試みている。それとともに、前半に4回転サルコウとトーループを入れるだけではなく、後半にも4回転トーループを入れて4回転ジャンプを3回にし、自信を持っているトリプルアクセルを2回入れる構成にした。つまり、このプログラムを完成させれば、当然のように昨シーズン以上の得点が出る。
1 / 3