【フィギュア】ソチ五輪へ。浅田真央にさらなる野望あり

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Noto Sunao(a presto),Nakamura Hiroyuki

 GPシリーズ開幕戦のスケートアメリカで、ショートプログラム(SP)、フリーとも首位の合計204・55点で圧勝した浅田真央。11月8日からのNHK杯では、さらに進化した演技を見せてくれた。

 初日のSPは、後半の連続ジャンプの2回転ループが回転不足、トリプルアクセルの減点も大きく、スケートアメリカの得点を下回る71・26点だったが、浅田自身「スケートアメリカが終わってから、カナダへ行って振り付けを直してブラッシュアップしてきた部分が出せたと思う」と言うように、大きな動きで流れのある演技を見せた。

SPで首位に立ち、笑顔で観客に挨拶する浅田真央SPで首位に立ち、笑顔で観客に挨拶する浅田真央 得点こそスケートアメリカより低くなったが、「得点は試合、試合で違うと思うし、それ(高得点)を目標にしているわけではないですから......。今回は流れるようなスケーティングをプラスできて、動きもスケートアメリカよりレベルアップしたものを見せられたと思う」と、浅田は納得の表情を見せた。

 翌日のフリーでは、冒頭のトリプルアクセルが回転不足を取られた他、3回転+3回転のジャンプが3回転+2回転になり、3回転フリップがロングエッジになるなど、いくつかミスが出た。

 それをカバーしたのが、今季になってますます良さがでてきた「滑りの正確さ」だ。ジャンプのミスが続いた前半部分こそ少し単調になりそうな部分はあったが、プログラム後半になると、粘りとキレのある柔らかな滑りを披露。「自分のスケーティング技術と今の力を、全部出し切るつもりで滑っている」というステップでは、これまでの柔らかさに重厚感やなめらかさが加わった、進化した演技で観客を魅了し、最後までスピードを落とさないで滑りきった。

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