日本ボクシング世界王者列伝:田中恒成 4階級制覇を果たしてもなお潜在能力を備えた (2ページ目)
【わずか5戦で世界タイトルにたどり着く】
ボクシング界では『花の95年組』という言葉がよく使われる。どういうわけだか、1995年度生まれに強豪ボクサーがズラリとそろっている。田中をはじめ、31歳を迎える年になった今も現役世界チャンピオンである井上拓真、堤聖也、岩田翔吉、さらに世界チャンピオン経験者の比嘉大吾、ユーリ阿久井政悟が再度のピーク登頂に迫っている。
田中はそのなかでも、早くから"とびきり"と言われたひとりだ。まだ小学生だったと思うが、兄の亮明(東京五輪フライ級銅メダリスト)とともに「将来の世界チャンピオン候補」として名前を聞いた記憶もある。かつて世界王座に挑んだトッププロからアマチュアに復帰、岐阜県瑞浪市の中京高校でボクシング部の指導にあたっていた石原英康からだった。3歳で空手を始め、小学5年生で地元・岐阜県多治見市のアマチュアジム『イトカワジム』でボクシングを始めた田中は、そこで石原と知り合い、中京高校ボクシング部の道場でも練習を重ねていた。
石原の言葉どおり、田中は順調に成長して、中京高校に進んだころには全国のトップをうかがう存在になっていた。ことに井上拓真とのライバル戦は、少年ボクシングの範囲を超えて注目を集めた。そして、高校3年生の秋、名古屋の畑中ジムからプロ転向を表明する。在学中の2013年11月10日にWBO世界ミニマム級6位オスカー・レクナファ(インドネシア)に判定勝ちでプロデビューを飾る。プロ2年目に中京大学に進学したが、躍進に滞りはない。対戦者の質も高かった。
2014年10月、4戦目には東洋太平洋のタイトル獲得史上最短記録を狙って、チャンピオンの原隆二に挑む。24歳の原は18戦全勝(10KO)、井上尚弥が初の世界タイトルを獲得して勢いに乗る大橋ジム期待の攻撃型ボクサーだった。しかも、初めての東京遠征でもあった。期待どおりの激闘となったが、田中の速さ、多彩なコンビネーション、あるいはガツガツと攻め抜く、いい意味での荒さも光る。10ラウンドTKOで世界挑戦へと大きなステップをきると、2015年、フリアン・エドラス(メキシコ)と空位のWBO世界ミニマム級王座決定戦を行ない、文句なしの完勝で日本人選手最短5戦目での世界王座獲得を成し遂げた。
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