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【ボクシング】かつて井上尚弥と闘った田口良一が「見たことがない」と驚愕したアッパー 敗れた中谷潤人も「これから全盛期を迎える」 (2ページ目)

  • 林壮一●取材・文・撮影 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

【相手が中谷だから実現したハイレベルな試合】

 田口はモンスターのディフェンスも評価した。

「井上君は、自分の打ち終わりを中谷君が狙ってくると見越していたでしょう。中谷君のパンチを外してから打つ練習を積んでいたように見えました。

中谷君の陣営は『井上君のステップの速さに驚いた』とコメントしたそうですが、自分との試合でも『あ、ここにいない!』と感じた局面がけっこうありました。ステップイン、ステップバックの瞬間的なスピードは驚異でしたね。出入りが速く、空振りさせられました。それは中谷君も同じでしょう」

東京ドームの死闘を振り返った田口 photo by Soichi Hayashi Sr.東京ドームの死闘を振り返った田口 photo by Soichi Hayashi Sr.この記事に関連する写真を見る

 田口は挑戦者の闘いぶりも讃えた。

「8、9、10ラウンドは中谷君が盛り返しましたね。スーパーバンタムで井上君にあそこまで肉薄できるのは、中谷君くらいです。陣営のサポート含め、彼じゃなければあんなハイレベルな試合はできませんでした。至高の36分、12ラウンドだったと、心が震えました。

 お互いに、簡単にはクリーンヒットさせない、という時間がありましたし、『彼らにしかわからない領域、第三者には見えない何かが行なわれているんだな』と。ほかの誰にも、こんな動きはできないだろうっていうシーンがありましたよね」

 第8ラウンドの中盤、井上のショートの右を避けた中谷が、左打ち下ろしからの右フック放つ。井上はそれをボディワークで躱(かわ)した。カウンターを狙い合うが、捉えきれない――。両者のディフェンスが光る、見応えのある攻防だった。

「お互いの空気感というか......笑い合ったりしていたじゃないですか。『こんな闘いを体現できる人が、世界中のどこにいるのか?』と思わせてくれました。今まで観たボクシングの試合のなかで、トップクラスの動きをふたりはしていました。

試合終了後、笑顔で抱き合った両者photo by Naoki Kitagawa試合終了後、笑顔で抱き合った両者photo by Naoki Kitagawaこの記事に関連する写真を見る

 試合終了後も興奮冷めやらず、次の日も考えてしまうような......。本当にすご過ぎました。日本のボクサーのレベルがどれだけ高いかを、世界に知らしめましたね」

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