「挑戦者が使うべきだったパンチ」とは? 元ヘビー級王者が中谷潤人の目線で語る、井上尚弥戦の勝負を分けたポイント (2ページ目)
【中谷が「使うべきだった」パンチとは?】
自身が生まれ育ったフィラデルフィアから北東に45キロメートルの地、ベンサレムで16歳になる五女と暮らすウィザスプーンは、時折、高校生の末娘に何かを指示しながら言葉を続けた。
「ジュントのジャブがよかった。右のグローブでフェイントをかけて、頭の動きを止めずに的を絞らせなかった。膝を折って上体を低くし、自分の距離を保った。イノウエが入ってくるところに、強打を見舞う作戦だったんだろう。
今思うのは......ジュントの距離で試合を運べていたし、もう少し左ストレートを使うべきだったんじゃないかってことだ。リーチのアドバンテージもあった。オーソドックスとサウスポーが闘う際、ストレートをぶち込んでいくのが鉄則だ。ジュントなら、ストレートをヒットすることは可能だったと感じる。
フィラデルフィアを訪れた際の(左から)弟でトレーナーの龍人、潤人、ティムこの記事に関連する写真を見る
イノウエが放ったボディへの右ストレートを、バックステップでキレイに躱すシーンが印象的だったね。イノウエが重いパンチをフルスイングした場面でも、ジュントはうまく対応していた。5ラウンドに左ストレート、右フックをヒットして攻めの姿勢を見せた。ラウンドが進むにつれ、ジュントはアグレッシブになった。ペースを握ったかに見えた。
悔やまれるのは、10ラウンドに起こった偶然のバッティングだ。鮮血が滴り、翌11ラウンドにジュントの動きが鈍った。視界が奪われたんだろう。これから、という時だったから、残念で仕方ないよ......」
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