【ボクシング】元ヘビー級王者が指摘する、中谷潤人が接近戦でやるべきだったこと それでも井上尚弥との対決は「ジュントが有利」 (2ページ目)
5ラウンドはボディを攻めた。俺はこのジュントの意図を高く評価する。ボディを叩くには距離を詰めなければいけないが、打ち終わるとうまくサイドにステップしていた。時折ガードが下がるところが気にはなったが。
6ラウンドは、メキシカンファイターが好む削り合いになったよな。相手をとことん消耗させる戦い方だ。ああいう展開になれば、よりいっそうディフェンスがカギになる。ジュントは多くのパンチを殺したが、被弾もした。決定打ではなかったがね。もっとフットワークで捌(さば)けばいいのに、と俺は思った。相手の望むボクシングで超越してやりたいっていうジュントのメンタルは、トップファイターならではのものだけどな」
【「ボクサーはダメージを受けちゃいけない」】
しかしながら、終盤に向かってエルナンデスはギアを上げていく。打たれても打たれても前進するスタイルで20戦全勝18KOをマークしてきたメキシカンは、インファイトでこそ自身の持ち味を発揮した。
「7ラウンドは乱打戦になった。ジュントはもっとスピーディーに、かつ軽快にフットワークを使えるが、上、下と左右のアッパーで迎え撃った。エルナンデスは、序盤、まったく捕まえられなかったジュントに自分のパンチを当てられるようになったんだから、そりゃあエンジンがかかるよ。ジュントがロープを背負うシーンが、相手にポイントを与えてしまったな」
昨年の6月、ともにフィラデルフィアの街を回ったウィザスプーン(左)と中谷 photo by Soichi Hayashi Sr.この記事に関連する写真を見る
この試合に向けたキャンプ中、中谷は得意とするアウトボクシングと並行し、インファイトでのスパーリングも数多くこなした。世界ランキング2位のラモン・カルデナスを相手にしたが、タフさではエルナンデスがカルデナスを大きく上回っていた。
「8ラウンドもアッパーの打ち合いが多かった。エルナンデスはようやく自分の距離になったから、とにかく手数で上回ろうと休むことなく攻め続けた。ジュントはステップを捨てて打ち合ったけれど、接近戦を制するのなら、クロスレンジでエルナンデスのパンチを殺すファイトをしなければいけない。9ラウンドはまさに、"Toe to Toe"での打ち合いだった。両者、相手の正面に立ってのパンチ交換だ。ジュントはハートの強さを十二分に見せた。どちらが相手の心を折るか、といった展開になった。
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