【証言・棚橋弘至】「家ではどんな生活を送っているんだろう?」上村優也が見た新日本プロレスのエースの孤独 (4ページ目)
── そういう考え方をしていること自体、上村さんは人としてベビーフェイスですよね。
上村 そうなんですかね? でも、僕も中学生の頃はけっこうまわりに迷惑をかけてきて、いまだに謝りたいと思うこともあるので、ずっといい子だったわけじゃないのかなと(笑)。それを経て、今の自分があると思います。
【本性をさらけ出した時に共感が生まれる】
── 新日本に入門後、棚橋選手と初めて対面した時のことは覚えていますか?
上村 はっきりとは覚えていないですけど、練習生時代は道場で生活をしていて、そこに練習に来られた棚橋さんの雰囲気は覚えています。練習生にもやさしくて、かといってベタベタする感じではなく、ふとひと言声をかけてくれるイメージですね。道場から帰られる時に「お疲れさまでした!」と言うと、「がんばってね」というひと言を棚橋さんからもらっただけで、「ああ、がんばろう」って思えた。
だから今は僕も道場に行ったら、若手に「練習がんばってね」となるべく声をかけるようにしています。あとは若手の頃から棚橋さんと食事に行く機会があって、そういうところでも「さすが棚橋弘至だな」って感じることが多々あって、やっぱり同席した人たちをすぐに魅了する、虜にするところがあるんですよね。
── 人に安心感を与えますよね。
上村 そうですね。だから逆に人前じゃない、普段の棚橋さんのことが気になりますもん。「家ではどんな感じで生活を送っているんだろう?」とか。
── ああ、それは思います(笑)。
上村 思いますよね(笑)。それは僕が棚橋さんから孤独というか、陰を感じる時があるからなんですよ。みんなの前ではそういうところを見せないようにはしているんでしょうけど、それでもたまに感じてしまう。それも魅力のひとつだなと思うんです。
── すごくわかります。ただ明るいだけの人ではないですよね。
上村 だから、家の中に監視カメラを付けて、家族の方たちにどう接しているのか、ちょっと覗いてみたいですね。でも、たぶん"素の棚橋さん"よりも、表に出ている「棚橋弘至」のほうが強くなっていて、私生活でも無意識のうちに表の棚橋弘至に侵食されているんじゃないかという気がするんです。僕自身も「プロレスラー・上村優也」という存在に、私生活でも少し支配されている、コントロールされているように感じる時がありますから。
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