【ボクシング】中谷潤人が井上尚弥をダウンさせたカルデナスと充実スパー トレーナーは 「ナオヤ・イノウエにも勝つだろう」と絶賛 (4ページ目)
【あらゆる事態を想定したスパー】
スパーリング2日目の11月12日、カルデナス陣営にロブレス父の姿はなかった。カルデナスはロブレス3世、カントゥと共にLA BOXING GYMに現れた。
この日も中谷とカルデナスは6ラウンドのスパーリングをこなした。WBA1位はカルデナスの右ストレートを額で殺し、リングを左回り、かつ右回りに動いては自分の距離で戦った。ワンツーをヒットしても、いきなりの左ストレートを当てても、必ずバックステップしてカルデナスのパンチが届かないポジションをとった。
しかしながら、"チーム中谷"は長所を伸ばす反面、試合中にどこか痛めて片手でのファイトを強いられたり、目が塞がってしまったケースを見越してメニューを組む。最悪の事態に陥っても、慌てず対処できるよう準備するのだ。
中谷はスパーリングの途中で、あえて接近戦を挑んだ。あるいは、ロープを背負った状態でカルデナスを誘った。そしてWBA2位にパンチを出させてはブロックし、ダッキングして空振りさせた。
トレーニングを終えた中谷は、2日目を省みた。
「今回は左フックだけじゃなく、右ストレートも絶対にもらわないことを意識しました。ちゃんと見えていましたよ。相手のパンチのタイミングを学びましたから、初日よりもやれたと思います。前の手でフェイントをかけて、アウトサイドにカルデナスを持っていくようにしました。今の課題はパンチの正確性です。狙いを定めて、ピンポイントで撃ち抜く。少しでも速くです」
中谷の動きには力みがなく、脱力しているからこそ、自然にパンチが出せていた。そう告げると、彼は白い歯を見せた。
「昨日の練習が12ラウンド、全力シャドーでしたから全身筋肉痛なんです。でも、お陰でリラックスした状態になっているのかもしれません。それがいい結果をもたらし、相手のタイミングを計ることにもつながったのかな」
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自らの進化を体感しながら汗を流す中谷。スーパーバンタム級への増量は、正しい選択だった――。そう言えるパフォーマンスを見せている。
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著者プロフィール

林壮一 (はやし・そういち)
1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。
【写真】中谷潤人がティム・ウィザスプーンと巡る、映画『ロッキー』の地フィラデルフィア
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