検索

【特別対談】棚橋弘至×藤波辰爾が語り合う受け身の美学 「相手の強い部分を知っておくことが大事」 (2ページ目)

  • 取材・文/井上崇宏 取材・構成/市川光治(光スタジオ)

── 藤波さんも棚橋さんも、新日本のなかで特異だったのは徹底的に相手の技を受けてみせるスタイルですよね。

藤波 べつに好き好んで受けてるんじゃないですよ。

棚橋 僕も攻めようと思っているうちにやられちゃってるだけで。

藤波 それは自分のタイミングでね、無理に攻めて逆にかまされるよりも、あえて受けたほうが自分のダメージを少なくすることができたりもするから。だから攻めたり攻められたりというのも呼吸だよね。

棚橋 前田日明さんの大車輪キックをくらった時(1986年6月12日大阪城ホール)はすごかったですね。藤波さんの顔面から血が噴き出して。

藤波 本来ならあんな蹴りを受けたくないもん(笑)。受けたくないんだけど、結果的にそうなっちゃう。なぜなら前田なんかは空手の経験があるけど、オレらには打撃の経験がないでしょ。やっぱり蹴ってくる間合いがわからないから、彼らからしたら一番蹴りやすい距離感にオレらが入ってしまうんだろうね。オレらも打撃の経験を積んでいたら、かわせたんだろうと思うけどね。

【できることなら一方的に勝ちたい】

── 相手の技を受けきることで万策尽きさせるという部分はなかったですか?

藤波 まあね。できれば攻撃だけしておきたいけどね(笑)。

棚橋 できることなら一方的にやって勝ちたいです(笑)。

藤波 前田にしろ、橋本(真也)にしろ、オレはよう蹴られましたね。

棚橋 橋本さんの蹴りも重そうでした。

藤波 しかも橋本はレガースなしで蹴ってくるからさ、いつもオレの顔にシューズの紐の跡がいっぱいついていて「交通事故かなんかに遭ったのか?」という感じだったもんね(笑)。ただ、やっぱり急所だけは、一番ダメージのあるところは蹴られまいと、瞬間瞬間にかわせてはいたけど。

棚橋 みぞおちなんかに入ったら一発で動けなくなってしまいますからね。

藤波 棚橋くんはオレと同じタイプだから、前田とか橋本と時期が重なっていたら、たぶんすごく......。

棚橋 時期がズレていてよかったです(しみじみ)。 

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る