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【格闘技】朝倉海のUFC2連敗に、川尻達也は「絶対に勝たなきゃいけない試合だった」 敗因や適正階級ついて分析した (4ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【外国人とのフィジカル差】

――川尻さんは日本人のなかでも屈指のフィジカルを誇りました。外国人と戦った時に、その差を感じることはありましたか?

「僕は、なかったんです。日本人と外国人のフィジカル差というのは、ただの言い訳だと思っていました。戻し制限や当日計量があるにせよ、柔道では日本人が世界で勝っているんだから、フィジカルが弱いなら鍛えればいいだけだと。もちろん、内臓の強さの違いなどはあります。でも、格闘技はコンタクトスポーツだから、そこを避けて勝負するのは難しいと思います」

――個体差があって川尻さんだからフィジカル差を埋められた、ということはありませんか?

「それ、よく言われるんです。でも、僕も先天的に強かったわけじゃない。中学のスポーツテストの結果を見返したんですけど、中1の頃の握力は23kg(握力の全国平均値・・・12歳男子:24.29kg、13歳男子:29.46kg/2024年度 文部科学省調査)で、今の娘のほうが強いくらい(笑)。足の速さだって特別速いわけじゃなかった。

 高校は陸上部で800m走の選手でしたけど、インターハイには行けませんでした。県の合宿で短距離選手の走りを見て、『才能のある人はこうなんだな』と痛感したんです。砂浜を跳ねるように走っていて。僕は中距離だったから瞬発系じゃなかったけど、やっぱり格闘技のトップにいくのも、ああいう瞬発系の才能を持った選手、ハイパワーを出せる選手なんだろうなと感じたんです。(イリア・)トプリア(現UFC世界ライト級王者)もそうじゃないですか」

――高校生の時に感じた才能の差を、努力で埋めたということですね。

「20年前からずっと『どうやってフィジカルで勝てるようにするか』が大事だと思ってきましたし、実際に僕は外国人相手にもフィジカルで勝ってきた。だから日本人でも、トレーニングすれば十分に対抗できると思います」

(後編:朝倉海は長所を磨くべきか、短所を埋めるべきか 川尻達也が自身の経験を踏まえて語る海外での戦い方>>)

【プロフィール】

■川尻達也(かわじり・たつや) 

2000年プロデビュー。『修斗』でウェルター級世界王者に輝くと、2005年から『PRIDE』、2008年からは『DREAM』に参戦。五味隆典、青木真也、ギルバート・メレンデス、エディ・アルバレスら世界的強豪と激闘を繰り広げた。2013年に『UFC』と契約。デビュー戦を一本勝ちで飾るも、2016年に自ら契約解除を決断し、『RIZIN』に電撃参戦。2019年には「ファイター人生最後のチャレンジ」としてライト級GPに挑み、パトリッキー・"ピットブル"・フレイレ戦に臨んだ。 "クラッシャー"の異名を持ち、網膜剥離を三度経験しながらも、長きにわたりトップ戦線で活躍。現在は『Fight Box Fitness』を主宰し、格闘技の楽しさを伝えている。

著者プロフィール

  • 篠﨑貴浩

    篠﨑貴浩 (しのざき・たかひろ)

    フリーライター。栃木県出身。大学卒業後、放送作家としてテレビ・ラジオの制作に携わる。『山本"KID"徳郁 HEART HIT RADIO』(ニッポン放送)『FIGHTING RADIO RIZIN!!』(NACK5)ウェブでは格闘技を中心に執筆中。レフェリーライセンス取得。ボクシング世界王者のYouTube制作も。

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