【ボクシング】井上尚弥のアフマダリエフ戦に、元ヘビー級王者があえて苦言「あの一発ですべてがひっくり返っていた可能性もある」 (4ページ目)
インタビューに答えたティム photo by Soichi Hayashi Sr.この記事に関連する写真を見る
ひととおり、アフマダリエフ戦について述べたティムは、中谷潤人(M.T)について熱く語った。
「いよいよジュントとのメガ・ファイトが近づいているな。聞いただけでワクワクするよ。同じ国籍を持ち、全勝を続ける実力伯仲のチャンピオン同士が対戦する。両者ともに複数の階級を制している本格派だ。東京ドームが満員になることは疑いようがない。俺も生観戦したいぜ。
両者がいかなるトレーニングをこなしてリングインするかが明暗を分ける。お互いにまだまだ引き出しを増やすに違いない。ほんのわずかな隙も逃さないピリピリとした激闘になるだろう。決戦の5月までに、どう過ごすかが勝負の分かれ目だ。モハメド・アリvs.ジョー・フレージャー、シュガー・レイ・レナードvs.トーマス・ハーンズみたいな歴史に残るボクシングマッチになるだろうよ」
あなたとフランク・ブルーノ戦は比較対象としないのですか? と筆者が問いかけると、ティムは豪快に笑った。
「1986年7月19日か。あれからもう、40年近くになる。確かに俺にとってはベストバウドだ。でも、ドン・キングとの奴隷契約に苦しんでいたから、苦い過去でもある。ジュントには、輝かしい未来が待っているさ」
アフマダリエフ戦の4日後、モンスターとアラン・ピカソ(メキシコ)との対戦が正式にアナウンスされた。中谷も同じ会場で、スーパーバンタム級転向第1戦としてセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)とファイトすることが発表された。井上も中谷も大一番を控え、12月27日にサウジアラビアのリングに立つ。ついに頂上決戦へのカウントダウンが始まった。
(中谷潤人があらためて感じた井上尚弥のコントロール能力 来年の対戦に向けて「僕も、引き出しを多く持っていなければ」>>)
著者プロフィール
林壮一 (はやし・そういち)
1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。
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