【女子プロレス】悔し涙の後楽園ホール大会から4年 ファン激増の仙女が地元で浴びた大歓声 (4ページ目)
その直後だった。リングに姿を現したのは愛海だった。マイクを握り、体は震えている。唇を噛みしめながら、彼女はゆっくりと言葉を紡いだ。
「先輩が......あんたに負けて......悔しいんだよ。この悔しさ、必ず力に変えてやるよ。次のビッグマッチ、私とシングルやれよ!」
一瞬の静寂。すぐに場内がどよめいた。誰かに真正面から立てつく愛海は見るのは初めてだった。9月23日、仙台サンプラザホールでのSareeeとのシングルマッチが決定。若い力が、大舞台で新しい挑戦に踏み出すことになった。
大会を締めくくったのは、タッグ王者・チーム200キロ。橋本千紘と優宇がVENY&レナ・クロスを退け、貫禄の防衛を果たす。分厚い攻防をねじ伏せるように勝ち切った姿に、王者の存在感が際立った。最後に橋本がマイクを握り、会場の熱をさらに押し上げる。
そして、DASH・チサコが目に涙を浮かべながら観客に語りかけた。
「『女子プロレス楽しい、観に行きたい』って、恥ずかしくないから。みんなで『好きだよ、好きだよ』って言って、また絶対来てほしいんですよ!」
その言葉に、すべてが込められているような気がした。
試合後、観客の拍手や声援に応える仙女の選手たち photo by センダイガールズプロレスリングこの記事に関連する写真を見る
私が「女子プロレスが好き」と口にすると、「女性が好きなの?」と言われることがある。男性が言えば「水着の女性が好きなの?」と茶化されるのかもしれない。そんな現状を、仙女は打ち破りたいのだろう。女子プロレスを観ることは、恥ずかしいことなんかじゃない。カッコよくて、尊くて、すげえことなんだと、彼女たちはこれからも伝え続けていくに違いない。
来年7月12日、ゼビオアリーナ仙台でのビッグマッチ再開催が発表された。東京のより大きな会場に進出することも大事だが、彼女たちにとって、この仙台で闘い続けることにこそ意味がある。
会場を埋め尽くす観客の拍手が重なり、声援とともに仙台の夜は幕を閉じた。
【大会情報】
■『女子プロレスBIGSHOW in 仙台』
■日時:2025年9月23日(火祝)14:00開場 15:00開始
■会場:仙台サンプラザホール
■詳細:『女子プロレスBIGSHOW in 仙台』 | センダイガールズプロレスリング公式サイト
著者プロフィール
尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)
1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。
【写真】仙女 ゼビオアリーナ仙台大会 熱狂フォトギャラリー
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