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【女子プロレス】悔し涙の後楽園ホール大会から4年 ファン激増の仙女が地元で浴びた大歓声 (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

 第2試合はもう行なわれないのではないか――。そんなあきらめが漂い始めた頃、リングアナウンサーのムーチャス入江が告げた。

「第2試合は、第5試合として行なわれます。愛海のタッグパートナーは、岡優里佳!」

 大歓声が起こった。2試合目の登場となる岡への期待が爆発したのだ。思わぬハプニングで、選手たちの力量が試される場面となった。

 第5試合、愛海&岡優里佳 vs Chi Chi&スパイク・ニシムラ。急きょ組まれた即席タッグだったが、そんな不安を吹き飛ばすように、試合は最初から明るく弾んでいた。愛海が声を張り、岡が勢いよく飛び込む。相手チームもテンポよく応じ、攻守が入れ替わるたびに歓声が高まった。

 本来なら、練習を積み重ねてきたパートナーシップが求められる場面だろう。だがこの日、愛海と岡は互いの動きに自然と呼吸を合わせ、試合を途切れさせることなく観客を惹き込んだ。Chi Chiとスパイクも、それぞれの持ち味を発揮し、会場をさらに熱くした。その光景に、私はただ感嘆した。プロレスラーは、予定外の状況すら力に変えてしまうのだ。

 最後は愛海が渾身の「フォー!プレス」で会場を揺らし、試合を締めた。拍手と笑顔が場内を満たし、明るい余韻を残した。

 試合後、スパイクが「仙女に入ります」とマイクで宣言。里村から赤いジャージを受け取ると、観客の拍手がさらに大きく広がった。新しい物語の幕開けを感じさせる瞬間だった。

【「女子プロレス観に行きたい」って、恥ずかしくない】

 第6試合、アジャコング&DASH・チサコ vs 世羅りさ&葉月。凶器が飛び交い、場外での乱闘も辞さないハードコアマッチ。パイプ椅子の軋(きし)む音や、テーブルが割れる鈍い響きがゼビオアリーナに広がるたび、観客が息を呑んだ。誰ひとりとして引かない闘いのなかで、仙台出身のチサコが場内を大きく沸かせた。ラダーのトップからダイブする姿に、「チサコ!」の声援が飛ぶ。凶器を使いながらも決してブレない気迫が、地元ファンの心を掴んでいた。

 続くセミファイナルは、岩田美香 vs Sareee。仙女のエース格として期待を背負う岩田と、女子プロレス界で圧倒的な存在感を放つSareeeの一戦は、緊迫感のある攻防が続いた。岩田は激しい蹴りで攻め立てるが、最後はSareeeがリストクラッチ式裏投げで勝利を収める。会場には、驚きと納得と、そして岩田が負けたことへの悲しみが広がった。

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