佐竹雅昭が後世に残してほしい「極真の怪物」との一戦 こだわりのテーマソングは偉大な作曲家から思わぬ提案があった (2ページ目)
【他流試合になると、佐竹雅昭は強い】
3分5ラウンドの試合は激しい内容になった。グラウベは序盤から、積極的にローキックやハイキックを繰り出す。一方の佐竹は、蹴りで顔面のガードが甘くなったところにパンチを合わせていったが、ムチのようにしなるグラウベの蹴りに阻まれてなかなか中に入ることができなかった。
「グラウベは当時、フィリォと並んで極真の外国人選手の両巨頭でしたから、キックも速かったし、キックボクシングにも順応していると感じました。ただ、武器に例えると、あの蹴りはムチ。スピードがあって、もちろん痛いですよ。ただ、致命傷にはならなかった。
だから"肉を切らせて骨を断つ"戦法でいきました。あの試合は、気力が上回ってダメージを感じなかったんです。ブラジリアンキックは軌道が複雑ですが、空手とは違って顔面ありのK-1ルールですから、こっちは蹴ってきた時に顔面へパンチを入れていった。そこが空手とは違いますし、僕もキックボクシングを初めて8年経っていましたから、顔面ありの打撃への技術は向上していましたからね」
アクシデントが起こったのは3ラウンド。グラウベの頭が佐竹の左目尻に直撃し、流血した。レフェリーは偶然のバッティングを取ったが、同じラウンドに再びバッティングがあり、佐竹の出血がひどくなった。それでも佐竹は驚異的な粘りを見せ、2-0の判定で勝利した。
「グラウベには松井館長と、ブラジル支部の磯部清次師範がついているわけです。そういう極真の幹部を見ると、余計に『これは負けられない』と燃えましたね。こういう他流試合になると、佐竹雅昭は強いんです。あれだけ流血しながら、よく頑張ったと我ながら思いますよ。
僕の試合って、気持ちがすごく出るんです。燃えている時は、自然といい試合になる。自分で言うのもなんですが、この試合はもっと評価されてもいいと思うんですよね(笑)。後世に残しておいてほしい一戦です」
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