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ムエタイの頂点から吉成名高が描く未来 「ワクワクするものを求め続ける」 (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 安川結子●撮影 photo by Yasukawa Yuko

【ボクシングをやる可能性も?】

――タイでは家の軒先にサンドバッグがあって、幼い頃から蹴っているとも聞きました。

「お父さんやお母さん、家族の生活のためにムエタイをやっている子がすごく多いですね。そういった選手たちは、早い子だと2歳から始めたりしているので、日本で格闘技をやる子どもたちとは根本的に違います」

――吉成選手もタイで練習をする中で、そういった地元の子どもたちを見て、どんなことを感じますか?

「同い年や年下の選手がジムで練習を終えたあと、当たり前のように掃除をして帰って行くんです。彼らにとってジムは、使わせてもらっている場所だったり、住ませてもらう場所。だからこそ、試合で結果を出して恩返ししたり、掃除をして感謝を示したり。そういった姿勢から人間力もついていくんでしょうし、学ぶことが本当に多いですね」

――吉成選手がムエタイで食べていけると実感されたのは、どのタイミングでしたか?

「僕がはじめてラジャダムのベルトを巻いたのは17歳の時なのですが、その時はまだ学生で、通信制の高校に通いながら、格闘技に打ち込んでいました。でも、周りの同級生たちが18歳で卒業して、大学に進学したり、社会人になってお金を稼ぎだしたりすると、やっぱり『このままでいいのかな』と不安に思う時期もありました。格闘技一本で本当に生活していけるのか、迷いもありましたね」

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