井上尚弥の次戦の相手、グッドマンとはどんなボクサーか? 対戦経験ある前日本バンタム級王者は「距離の遠さ」を実感 (2ページ目)
普段、53.52kg以下のバンタム級で戦う富施が、55.34㎏以下のスーパーバンタムでリングに上がったが、グッドマンのパワーに驚くことはなかった。
「相手の映像を見て、『バランスがいい選手だな』という印象を持っていました。ヒット・アンド・アウェイが巧みなので、向こうの右ストレートに合わせる練習をしました。こちらもバランスを課題とし、打ち終わりに体が流れないこと、重心が上がらないようにと意識しましたね。
僕は緊張するタイプじゃないんですが、アリーナは大観衆で埋まっていて、炎が上がる演出のなかで花道を歩き、さらに盛り上がりました。僕らの試合のあとに、まだ3試合くらいあったと記憶しています。もちろん気持ちは高まりましたよ。『雰囲気がいいな、せっかくだから楽しもう』と考えました」
【グッドマンがダウン後に見せた「うまさ」】
サウスポーの富施はリズムを取りながら、前の手でフェイントをかける。しかし、序盤から手数でオーストラリア人ファイターが上回った。
「立ち上がりのグッドマンは、予想以上にプレッシャーをかけてきました。僕はジャブを顔面に、ストレートをボディに、またはフック気味に顔面を狙っていきました」
2ラウンド目は、グッドマンの右ストレートをかわし、顎に左アッパーをヒットさせるなど、日本人チャレンジャーも自分のよさを見せる。
「グッドマンって、ワンツー、そしてまたジャブと3つ打ってくるんですよ。その癖を見抜いたので、左ストレートを合わせたんです」
第3ラウンド、2分14秒。富施の左を浴びたグッドマンが腰からキャンバスに沈む。狙い澄ました一発に見えたが、富施は淡々と回想した。
「たまたま当たって、タイミングよく倒れてくれました。ただ、グッドマンはその後がうまかったですね。常に自分の距離を保って、(こちらのパンチが)届かないんです。近いようで遠く感じました。
当たりそうだなと思ってパンチを出すんですが、どうしても捉えられなかったです。反応がよく、空間支配能力に長けていました。僕が踏み込んだら、その分、グッドマンも下がる。そして、彼のパンチは意外とノーモーションなんです。向こうが距離を詰めてプレッシャーをかけてくるんですが、本来、こっちが手を出せば当たる距離なのにヒットできなかったです。逆に相手のノーモーションのパンチを、もらってしまいました......。
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