ブル中野は15歳で全女に入り、約1年で極悪同盟に強制加入 ダンプ松本からは「半ハゲでいいな」 (3ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

【デビュー2年目、極悪同盟への加入で「すべてが一変」】

――1984年10月に、ヒールユニット「極悪同盟」に加入します。それまではベビーフェイスとしてリングに上がっていましたが、もともと悪役志望だったんですか?

ブル:いえ、無理やりです(苦笑)。ダンプさんから毎日のように「おまえもブスでデブだから、悪役になるしか道はないんだよ」と勧誘されました。当時の全女では、先輩に「嫌です」「いいえ」は言えなかった。それでも1週間ぐらいは返事をごまかしていたんですけど、「そろそろ決めないと"やられちゃう"な」と感じて、仕方なく「悪役をやります」と伝えました。

 そうしたら、ダンプさんに手を引っ張られて社長室に連れて行かれ、「社長、中野が悪役になりたいって言うんですよ」と。社長も「そうか、じゃあ明日から悪役な!」と快諾して、「極悪同盟」への加入が決まってしまいました。

――極悪同盟に加入して、状況はどう変わりましたか?

ブル:すべてが変わりました。15歳でレスラーデビューして約1年、少しずつ増えていったファンの子たちは「なんであんな最低のところに入っちゃったの!?」と、みんな手のひら返し。家族も親戚も友だちもベビーフェイスだから応援してくれて、チケットを買ってくれていたのが、極悪同盟のメンバーになったことで態度が一変しました。

 でも、家族が一番大変だったかな......。見守ることしかできない人のほうがつらいと思うんですよね。妹はまだ小学生で、学校でいじめられただろうし。あの時代の悪役は「本当に悪い人」と思われていて、根っから憎まれ、嫌われていましたから。

――ブルさんも相当につらかったのでは?

ブル:私も大変でしたけど、自分で「やる」と覚悟を決めたプロレスの世界なので、悪役が嫌だろうが、お客さんに嫌われて石を投げられようが、我慢するしかありませんでした。当時は、女子プロレス団体は全女しかなかったですし、極悪同盟を辞めたらプロレスができなくなってしまいますからね。

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