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寺地拳四朗が振り返る、ボートレーサーになりたくて始めたボクシングで世界王者になるまで (3ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

――以前は、「加藤さんにまるで操られているかのように、指示どおりに動いている」と話していました。今はいかがですか?

KT:変わりませんけど、「自分でも考えられるようになったほうがいいな」とは思います。指示されたことは実践できますが、それはセコンドに戻らなければわからない。試合中の変化を自分で感じられるようにならないといけないと思っています。「もうちょっと、自分でやらにゃいかん」と思う部分です。

――加藤トレーナーに対して、全幅の信頼を置いているのが感じられます。

KT:言うとおりにやっていれば勝てると信じています。加藤さんが言っていることは正しいし、的確やし、知識もすごい。そこはかなり信頼しています。

【父・永さんとの関係は?】

――過去にはアメリカでもトレーニングをしてきましたが、アメリカ修行のいい部分はどういったところでしょう?

KT:アメリカの"強さ"を体験できます。海外の強い選手は、日本人の強さとはまた違うんです。日本人はぴょんぴょん飛んでハイペースでパンチを出すイメージ。それに対して、海外の選手はズシッとしていて、ズドンとパンチを打ってくる。無闇にぴょんぴょん飛ばないからブレへんし、身体が浮きにくい。そういったスタイルを体験しようと思ったら、向こうに行くしかないんですよ。

――面白い表現ですね。確かにアメリカの選手はアウトボクサーであっても、特に最近は、それほど軽やかなフットワークは使わないイメージです。どっしりとしたスタイルが多いですね。

KT:日本にもファイターはいっぱいいますけど、また種類が違うし、アメリカのボクサーはディフェンスもうまい。ただ、日本人には日本人の強さがあるので、どちらが強いかと言われたらそれはわかりません。

――それぞれよさがあり、違う部分を感じられるのが大きいということですね。

KT:そのとおりです。マニー・パッキャオのスタイルは日本人の系列ですけど、それで勝ち続けていました。ただ、パッキャオは負けも多かったし、弱点もあるのでしょう。ひとつ言えることは、日本人のスタイルだとスタミナが大事になるということ。僕も同じですが、スタミナがなかったら勝てないボクシングなんだと思います。

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