ケンコバが大迫力の6人タッグに感じた「やさしさ」の正体 スコット・ノートンとホーク・ウォリアーとの絆 (2ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji

――レイガンズは、アマチュアレスリングで全米トップの実力者。1981年にプロレスラーに転向してからも、確かなテクニックで日米のマットで活躍した名レスラーでした。後進の指導にも取り組んでいましたが、ホークとノートンも「レイガンズ道場」で研鑽を積んでいたんですね。

「役者の道に進みたかったノートンは、言ってみればホークのおかげで、プロレス界で地位を築けたわけです。しかもホークだけでなく、アニマルとも同じ高校の同級生。3人にとって1996年の東京ドーム大会は"同窓会"でもあった。そんなバックボーンに思いを馳せた俺には、ノートンの心の声が聞こえてきたんです」

――どんな声ですか?

「『俺は役者の道に進みたかった。だけど、待て。ホークのことを忘れてはいけない。あいつが自分をこの業界に招き入れてくれたからこそ、アメリカと、太平洋を挟んだはるか彼方の日本でも華やかな試合ができている。こんな舞台に立てているのは、あいつのおかげだ』という声ですね。ちょい長いですけど(笑)。そんなノートンの気持ちを、俺は感じ取ったんです」

――なるほど。

「ただ、それだけじゃないんですよ。確かグリーンボーイ時代に、ノートンはアニマルとも一緒に練習していたはずなんです。おそらく当時の2人は、メインイベンターを夢見てトレーニングに励んでいたでしょう。そんな2人が、押しも押されもせぬ日米のトップレスラーとなり、東京ドームで再会したわけです。

 しかもこの6人タッグは、長期にわたって負傷欠場していたアニマルにとって久々の日本での試合。俺には、2人が戦いながら『久々だな兄弟』と会話しているように見えて。そして東京ドームの大観衆、パートナーのホークに『スコットも大きくなっただろう』と自慢しているようにも感じたんです」

――感動的ですね。

「試合は、6人が真正面からぶつかり合ってドームが熱狂するすさまじい肉弾戦。でも、リングは『やさしさ』に満ち溢れていた。だから俺の脳内では、ユーミンさんの『やさしさに包まれたなら』がリフレインしまくってました」

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