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「この人じゃなきゃダメだ」東京女子プロレス遠藤有栖が「バディ」鈴芽との絆で手にしたタッグの頂点

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

■『今こそ女子プロレス!』vol.19

遠藤有栖インタビュー 後編

(前編:プリキュアになりたかった「コミュ力ゼロ」の女の子は、なぜプロレスに輝く場所を求めたのか>>)

 プリキュアになることを夢見ていた普通の女の子、遠藤有栖(えんどう・ありす)。アイドルグループ「Cheer♡1(チアワン)」を経て東京女子プロレスに入門し、2年先輩の鈴芽とタッグを組む。勝てない日々が続いたものの、鈴芽と力を合わせて着実に"強さ"を身につけていく。そんな中で悩みを抱くも、それを乗り越えてプリンセスタッグ王者に輝いた。

 初代プリキュアで活躍するような"バディ"、タッグパートナーとの絆で辿り着いた頂点。遠藤有栖の"リアル"プリキュアストーリーとは――。

今年3月にプリンセスタッグ王座を手にした遠藤有栖 photo by 東京女子プロレス今年3月にプリンセスタッグ王座を手にした遠藤有栖 photo by 東京女子プロレスこの記事に関連する写真を見る

【「ひとりでは何もできないんじゃないか?」】

 デビューから1年後の2022年1月4日、鈴芽とのタッグで自力での初勝利を飾るも、有栖の心の中に暗い影が生まれ始めていた。「ひとりでは何もできないんじゃないか?」――。

「タッグでは勝てたものの、それは2人で協力して勝てたわけじゃないですか。シングルでは勝てなかったですし、『私は鈴芽さんがいないとダメなのかな?』と落ち込んだりもしました」

 そんな中、同年4月9日の後楽園ホール大会にて、坂崎ユカ&瑞希の持つプリンセスタッグ王座に鈴芽とのタッグで挑戦することになった。それまで有栖と鈴芽は「ありすず」と呼ばれていたが、正式にタッグチーム名をつけることに。鈴芽が好きな花「デイジー」に、語呂がいいからと「モンキー」をつけて、「でいじーもんきー」。略して「でじもん」。

 坂崎と瑞希のタッグチーム「マジカルシュガーラビッツ」(以下、マジラビ)は、当時の東京女子プロレスを代表する超人気タッグ。マジラビの2人は記者会見で有栖と鈴芽にこう言った。「死ぬ気でかかってこい」――。

「マジで死ぬ気でいきました。でも敵わなかった。マジラビさんってタッグ力がすごいし、私はシングル初勝利もできていなかったから、『自分が原因かな......』という気持ちにはなっちゃいましたね。マジラビのお2人が『またやろう』と言ってくれたのが救いでした」

 有栖が考えるタッグ力とは、ひと言で言うと「絆」。

「瑞希さんはユカさんが『わかってくれている』と思うからこういう動きをする、とかですね。お互いをわかっているからこそ、『こうやりたいんだな』と思うことが合致する。マジラビさんはタッグ力が最強だと思います。絆が本当にすごい」

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著者プロフィール

  • 尾崎ムギ子

    尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)

    1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。

【写真】「でいじーもんきー」遠藤有栖 撮りおろし&試合フォトギャラリー

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