鬼越トマホーク・坂井良多が選んだ「ケンカマッチ」ベスト5。PRIDE、K-1、UFCのどつき合いナンバーワンは? (4ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • Photo by Getty Images、Yukio Hiraku/AFLO

【2位】三崎和雄 vs 秋山成勲

(2007年12月31日「やれんのか! 大晦日!2007」 三崎のKO勝利→後にノーコンテスト)

 殺伐とした試合で、ドス黒い盛り上がりがあった点を考えても、絶対に外せない試合です。

 秋山さんは、その前年の桜庭和志戦の"ヌルヌル事件"もあって「ド」がつくヒール状態で試合を迎えた。でも、柔道出身の選手なのに自信満々に打撃を使いこなして、メンタルも強い秋山さんには恐ろしさのようなものがありました。

 一方の三崎さんも、「いけ好かないけど強い」というイメージを持っていた人も多いかもしれませんね。所属していた『GRABAKA』は、パンクラスの船木誠勝さんや近藤有己さんが好きな人からすると"外敵集団"みたいな感じだったでしょうから。

 だから2人とも、当時は負けが想像しづらい選手だった。当時は三崎さんの勝利を願う声がほぼ100%、入場でも秋山さんに大ブーイングで、三崎さんには大歓声。そんな中で試合は先に秋山さんがダウンを奪うも、復活した三崎さんが左フックからの顔面蹴りでレフェリーストップとなった。

※一度は三崎のKO勝ちとなったが、三崎が放った蹴りが「4点ポジション(両手両足がついている状態)」での顔面への攻撃で反則と裁定され、試合結果は「ノーコンテスト」となった。

 その瞬間の会場の盛り上がりはハンパじゃなかった。それくらい、日本中が「秋山を倒してほしい」という空気になっていましたね。それを考えると、秋山さんはアッパレですよ。あそこまで悪者になって、いまだにそれを背負い続けているのも凄いことです。この時の思いが、青木真也 vs 秋山成勲(2022年3月26日「ONE X」)にも繋がっているわけですし。

 三崎さんは、日本のMMAの歴史でもっと評価されていい人だと思うんですよね。今は、ボンサイ柔術のセコンドに付いていますが、RIZINで三崎さんが出てきても、ファンは『三崎だ!』とはならないのは歯がゆいです。中量級だと、個人的には三崎さんと、岡見勇信さんはレジェンド。その上に"始祖"みたいな感じでいるのが桜庭和志さん。桜庭さんを否定できる人は、ひとりもいないでしょう。

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