未勝利のプロレスラー月山和香、30歳。北海道大卒の才女がリングを生きる場に選んだ理由 (4ページ目)
2020年9月6日、アクトレスガールズ Color's 北千住大会にて、林亜佑美と組み、SAKI&さくらんボニータ戦でデビュー。ベテラン対若手という構図で、ボコボコにされた。
「練習だと、そんなに長い時間やらないじゃないですか。10分とか殴られたり蹴られたりすることってない。きつかったですね。終わったあと、裏でシクシク泣きました。痛かった、怖かったって......」
「仕事にしたらプロレスが嫌いになるかもしれない」――その心配は杞憂だった。頭に角をつけ、デビルフォークを持つ、小悪魔キャラ。反則をしたり、ベルトを盗んだり、好き放題に暴れた。アクトレスガールズにヒールはいない。あくまで"ヒールに憧れている"小悪魔だ。ファンからブーイングされることもなく、愛された。
2021年4月、デビューして半年が経った頃、突如、アクトレスガールズ解散の話が持ち上がる。団体をなくす理由が、経営不振ならまだわかる。しかしそうではなく、代表が「やりたいことと違った」という理由だと聞かされた。
「人の人生が変わるような決断をする時に、自分がやりたいことを優先する人はどうなんだろうかっていう疑問を持ってしまった。この人の下でやっていくのは、ファンの人に失礼だなと思いました」
ファンに「これからもずっと応援するね」と言われても、内心は「本当は団体がなくなるんだけど」と思っている。「横断幕を作ってあげる」と言われても、「数カ月後になくなっちゃうんだよ」と思っている。ファンに嘘をついていることがつらくて堪らず、心が病んだ。
7月、アクトレスガールズを退団。9月4日、スターダム・ベルサール新宿グランド大会に姿を見せ、スターダム入団が発表された。
(後編:戦友の裏切りに抱いた困惑と怒り。コズエンのために「桜井まいに勝つまでは引退できない」>>)
【プロフィール】
■月山和香(つきやま・わか)
1992年1月26日、アメリカ合衆国ニューヨーク州生まれ。153cm、52kg。北海道大学法学部法律学科卒業後、医療機器メーカーに就職。2年間のOL生活後、役者に転向。アクトレスガールズでプロレスデビューしたが、2021年7月に退団。9月6日の後楽園大会におけるスターダム緒戦でフューチャー・オブ・スターダム王座に挑戦し、ウナギ・サヤカに玉砕。キャリア未勝利ながら、感情溢れるファイトでファンの熱視線を浴びている。
Twitter:@Waka_Mm3
【大会情報】
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