BreakingDownを見た格闘技のプロは「危機感を持たないとヤバい」。素人が生み出す魅力とリスク、今後の展開にも言及した (2ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • photo by BreakingDown

――大沢さんが代表を務めるジムに、「BreakingDown」の出場者が来ることもありますか?

「来ますよ。『大会に出ることが決まったから練習させて下さい』と。それは、こちらも対応していこうと思いますけど、勢いを身を持って感じてます(笑)」

――ちなみに、「BreakingDown5」でのベストバウトは?

「セミファイナルの第20試合、てるvs細川貴之(キックボクシングルール、77キロ以下・ウエルター級ワンマッチ。てるが判定5-0で勝利)ですかね。元東洋太平洋王者のプロボクサーである細川選手の技術を、素人が勢いで乗り越えた。1分間の『BreakingDown』ならではの魅力を体現した試合だったと思います」

―― 一方で、「『BreakingDown』は格闘技なのか」という声も多いようです。

「う~ん......"格闘エンターテインメント"って感じじゃないですかね。勝敗だけではなくて、その瞬間、瞬間で、いかに高い熱を生み出せるかが勝負。人生を変えたい人にとってはいい舞台だし、モチベーションもすごく高くなるんじゃないかと」

――懸念材料は、アマチュアの選手が出場するゆえの安全面だと思いますが、その点についてはどう思いますか?

「素人同士で力量が計り知れないので、いざ試合になってレベルの差が如実に出る場合があるから、一方的に打撃をもらうといった部分は危ないかもしれません。ただ、それ以外は運営側も気をつけているように感じます。今大会でも、レフェリーが1度のダウンでTKOにしていたり、早めに止めたりしていましたから」

――大沢さんはプロの選手を指導・育成もされるなど、長く格闘技界に身を置いてきましたが、「BreakingDown」はどのような存在?

「格闘技界にとっては、『とんでもない黒船が来たぞ』って感じなんじゃないですか(笑)。プロの選手のなかにも、『有名になりたい』『目立ちたい』という理由だけでやっている選手もいますから、そういう選手が一気に『BreakingDown』に流れたらえらいことになりますよ」

――強さを証明するのであれば既存の格闘技、そうでない場合は「BreakingDown」が近道になる?

「そうですね。未来くんに『すごいものを発明したね』と声をかけたら、『出る人が変わっても成立しますからね』と言ってましたよ」

――今後は海外進出も視野に入れているとのことです。

「(※)『風雲!たけし城』(TBS)みたいな感じなのかな(笑)。フォーマットが海外でも売れそうですよね。極端な言い方をすると、乱闘は誰がやってもある程度は面白くなる。『RIZIN』や『K-1』でもそうですが、試合が注目されたり話題になる時って、バチバチに煽り合ってる時じゃないですか。『BreakingDown』は、出場者同士でそうなる空気感ができている印象があります」

(※)1980年代に放送された人気のバラエティー番組。海外では「Takeshi's Castle」などの名前で米国や英国、南米など150を超える国で放送され大ヒットした。

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