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井上尚弥の防衛戦の展開を元世界王者が予想「長い夜にはならない」 (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

――井上対ダスマリナス戦の予想展開は? 絶対不利と見られている挑戦者が善戦し、番狂わせを起こすとしたら何が必要なのか。

 ダスマリナスが善戦するためには、何らかの形で井上にフラストレーションを感じさせる必要があるでしょう。ダスマリナスのキャリアをそれほど詳しく追いかけてきたわけではないですが、彼が長身のサウスポーで、シャープなパンチを打つ選手であることはわかっています。

 井上は非常にリズムがよく、自分のペースに持ち込むのが上手な選手。今回の試合でも彼がリズムを掴んでしまえば、一方的な戦いになるでしょう。ダスマリナスはサイズとサウスポーの利点を生かし、継続的に角度を変えたパンチを打って井上を戸惑わせ、なんとかしてそのリズムを崩さないといけません。

 もうひとつ重要なのは、ダスマリナスが試合の早い段階で、井上の"リスペクト"を得ることです。言い方を変えれば、強烈なパンチを打ち込み、ダメージを与えられなくても「警戒が必要だ」と感じさせること。それができた時、攻略の糸口が見えてくるのかもしれません。

 ただ、これまで話してきたことは言うのは簡単ですが、井上のような選手を相手に実際にやり遂げるのは難しい。正直、6月19日の井上対ダスマリナス 戦は、私はそれほど長い夜(=長期戦)になるとは考えていません。ほぼすべての面で明らかに上回る井上が、問題なく試合の中盤でKO勝ちを収め、さらなるビッグファイトにつなげることでしょう。

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