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井上尚弥の防衛戦の展開を元世界王者が予想「長い夜にはならない」 (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 昨年10月31日、MGMグランドガーデンでのジェイソン・マロニー(オーストラリア)戦で、井上はラスベガスのリングに初登場しました。そこでの戦いぶり、内容、勝ち方はすばらしかった。アナリストとして見ていて、技術面でも突っ込みどころはなかったですし、最終的には文句のないKO勝ち。私にとっての"フェイバリット・ファイター"のひとりになりました。どんな媒体で「パウンド・フォー・パウンド」ランキングを決めても、確実にトップ5に入ってくるボクサーです。

 アメリカのボクシングファンによる、軽量級の選手への評価が手厳しいということは否定できない事実です。その中で「スーパースターになる」ということは、毎試合のようにハイレベルのパフォーマンスを見せなければいけないということ。そういった意味では、井上が中量級、重量級の選手よりも難しい立場にいるのは確かでしょう。

 ただ、これまでのキャリアをあらためて振り返れば、その難題をクリアしてきた選手であることに誰もが気がつくはずです。ほぼすべての試合でハイライトになるようなKOシーンを生み出し、その破壊力、スキルをファンにアピールしてきました。自身の前にある高いバーを飛び越え続けてきたボクサーなのです。

 だから先ほども言ったように、これから先も何か特別なことをやる必要はありません。ダイナミックなKOが好まれるのはどこの国でも同じです。今までと同じように勝ち、KOを積み重ねていけば、アメリカでもより多くの人々が彼の能力、魅力に気づくはず。あれだけの選手であれば、それが必然だと考えています。

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