『呪術廻戦』の虎杖悠仁が駆使する躰道とは? 達人がバトルと作品の魅力を語る

  • 満島エリオ●取材・文 text by Erio Mitsushima

――中野先生の説明を聞いていると、芥見下々先生は躰道や武道をかなり調べられているのかなと感じますね。

「機会があればいろいろお伝えしたいですね。例えば、半月当てからの連技で、相手が大技をかわした時に出す足絡みや、躰道の代表の技『海老蹴り』というのもあります。威力がありすぎて組手であまり使わないんですが」

――卍蹴りの登場をきっかけに『呪術廻戦』を漫画やアニメをご覧になったとのことですが、武道家として見て、バトルシーンをなどはいかがでしたか?

「主人公たちが明らかに人間じゃないものを相手に怖がらないっていうのがすごいですよね。現実でも、ナイフとかを散らつかされたら目をそらしたくなると思うんですが、それを怖がらないのがすごい」

――確かに、登場人物たちは敵に怯みませんね。

「そうなんですよ。『呪術廻戦』の主人公たちはみんなメンタルが強いですよね。あとは、僕らにはありえないのが、自分の体よりも明らかに大きな敵や大きなパンチが出てくることですね。アニメだと1話で虎杖が攻撃してきた呪霊の腕の上に乗ったりしますけど、明らかに自分より大きなものに攻撃されながらそんな行動ができるのはすごいと思いますね。

例えば、真人がトゲトゲになるシーンがありますが、あんなことされたらシャレにならないです。近づいてパンチやキックを打とうとしても、トゲが出てくるかもと思ったら打てないですよね。虎杖なんか頭突きをしていましたけど、あの時に真人のおでこからトゲが出てきたらやばい、と思いながら見ていました」

――戦闘狂のようなキャラクターや、登場人物たちが戦い自体を楽しむシーンというのはバトル作品にはよく出てきますが、中野先生もそういうことを感じることはありますか?

「よくあります。競技者としてはレアだと思うんですが、僕は全然負けず嫌いじゃないんです。誰かを倒したいというよりも、職人のような気持ちで『もっといい蹴りをしたい』『こういう状況にも対応できるようになりたい』と思っています。

あとは、それを人に伝えたりするのも好きなので、五条悟先生も好きですね。セリフの端々に『育てたい』という気持ちを感じて共感します。『呪術廻戦』には先生と生徒、導く者と導かれる者、という関係性がよく出てきますよね」

――『呪術廻戦』は呪術を使ったバトルではありますが、仲間と共闘したり、アクションシーンも多いですよね。中野先生から見て、作中で動きがよく、強いなと感じる人物はいますか?

「東堂葵ですね。僕は洞察しながら戦うのが好きなんですが、東堂は先読みしながら戦うのがすごいなと思いました。それに、洞察している描写を漫画の中に入れるという、芥見先生の戦法に対する考え方自体がおもしろいと思いました。考えているからこそ、その描写が出てくると思うので。この作品には『観察』の描写がすごく入っていますよね」

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