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「人間山脈」「インドの狂える虎」...外国人レスラーを際立てた言葉の力 (3ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kimura Sankei Visual

 どんな技か詳細はわからなかったんですが、マスコミ関係の人たちの間で、その技が出たら藤波辰巳の名前から取って『ドラゴン・スープレックスにしよう』と話しました。ただ、本当は新聞や雑誌で一斉に報道するはずだったんですが、僕が思わず実況中に『ドラゴン・スープレックス』と言ってしまって。試合が終わったあとに、他の記者から『言っちゃったの?』って少し怒られました(笑)」

 マスコミと団体、レスラーが"一心同体"となってリングを盛り上げていた時代。レスラーの異名やキャッチフレーズは、「団体とマスコミが共同で編み出した産物だった」と舟橋は振り返る。

「リングネームだけだとファンの耳に響かないし、心に残らない。異名、キャッチフレーズが生まれることで、見ている人々のイメージを膨らませ、『見たい』という欲求を刺激するんです。異名をつける上で大切なのは、その言葉を聞いただけ、あるいは読んだだけで、本人のレスリングスタイルが浮かんでくること。そういう意味では、かつてのプロレス界、特に外国人レスラーは個性に溢れていました。そういったレスラーの存在に、我々のような"伝える側"も触発され、記憶に残るフレーズが生まれたんだと思います」

 平成も多くのスター選手が活躍したが、令和のマット界からも個性溢れるレスラーが現れ、歴史に残る異名が誕生することを楽しみにしている。

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