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「人間山脈」「インドの狂える虎」...外国人レスラーを際立てた言葉の力

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kimura Sankei Visual

名レスラーたちの「異名物語」後編 前編から読む>>

 アントニオ猪木の異名「燃える闘魂」を編み出した、新日本プロレス中継『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日)の初代実況アナウンサー舟橋慶一氏。その舟橋氏によると、レスラーの異名は日本プロレス時代から「団体とテレビスタッフ、新聞記者が一緒になって考えていた」という。

 日本プロレスの全盛期は、「日本人対外国人」の対決が全盛だった時代。次々と来日する外国人レスラーのイメージを膨らませるためにも、「異名」は不可欠だった。

アントニオ猪木(右)と戦う「人間山脈」アンドレ・ザ・ジャイアント(左)アントニオ猪木(右)と戦う「人間山脈」アンドレ・ザ・ジャイアント(左) 代表的な例は、ルー・テーズの「鉄人」、ザ・デストロイヤーの「白覆面の魔王」、カール・ゴッチの「神様」、フリッツ・フォン・エリックの「鉄の爪」、フレッド・ブラッシーの「銀髪鬼」、ミル・マスカラス「仮面貴族」、アブドーラ・ザ・ブッチャー「黒い呪術師」、ブルーノ・サンマルチノ「人間発電所」などだろうか。いくつもの異名が、リングネームとセットとなってプロレス史に刻まれている。

 こうした異名の成り立ちはさまざまだが、報道するプロレス記者が密接に関わっていたことは間違いない。新日本プロレスの中継がスタートして間もなく、猪木の宿敵として現れたタイガー・ジェット・シンには「インドの狂える虎」、スタン・ハンセンには「不沈艦」という異名がついたが、舟橋氏は「それは『東京スポーツ』の桜井康雄さんがつけたと思います」と明かす。

 桜井氏は、日本プロレス時代から『東京スポーツ』のプロレス担当記者として第一線で活躍。テレビ中継の解説も務めるなど、取材者としてだけでなく、団体へのアドバイザー的な顔も持っていた。団体と蜜な関係を築き、新聞とテレビという2つのメディアで得た知名度も生かして、異名を発案してはファンに広げていった。

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