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「東京で金メダルが獲れる」文田健一郎。
先輩の銀獲得が嬉しくも悔しかった (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO


 ロンドンオリンピックで金メダルに輝いた米満達弘(自衛隊体育学校)を高校時代に指導した父親(文田敏郎/山梨・韮山工業高校レスリング部監督)のもとで、文田はレスリングを始めた。中学時代から国内外の数々の大会で優勝し、高校2年・3年時には早くも全日本選手権で3位となる。

 高校卒業後、輝かしい実績をひっさげて、名門・日体大へと進学。そこで入部したレスリング部の2学年上の先輩が、同じグレコローマンスタイル・同じ階級の太田だった。

 2016年8月、文田は太田のスパーリングパートナーに指名され、リオデジャネイロへ同行することになった。スパーリングパートナーとは、野球で言えばバッティングピッチャーのようなもの。マットの上で真剣勝負を挑むことはなく、大会に出場する選手が気持ちよく調整できるようにタイミングよく技をかけられるなど、調子を上げていく手伝いをしなければならない。

 加えて、練習や試合では常にドリンクなどを用意し、脱いだジャージーやタオルを畳むなど、選手の身の回りの世話もする。文田はそうした雑用を丁寧にこなしながら、憧れの世界最高の舞台に触れた。

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