2020.06.05

「東京で金メダルが獲れる」文田健一郎。
先輩の銀獲得が嬉しくも悔しかった

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

東京五輪&パラリンピック
注目アスリート「覚醒の時」
第18回 レスリング・文田健一郎
練習相手として同行したリオデジャネイロオリンピック(2016年)

 アスリートの「覚醒の時」——。

 それはアスリート本人でも明確には認識できないものかもしれない。

 ただ、その選手に注目し、取材してきた者だからこそ「この時、持っている才能が大きく花開いた」と言える試合や場面に遭遇することがある。

 東京五輪での活躍が期待されるアスリートたちにとって、そのタイミングは果たしていつだったのか……。筆者が思う「その時」を紹介していく——。

2016年の全日本選手権、文田健一郎は太田忍を破って初優勝した 5年ほど前、日本のレスリング・グレコローマンスタイルは絶望的な状況だった。

 ロンドンオリンピックで60キロ級の松本隆太郎が銅メダルを獲得したあと、2013年から世界選手権でのメダルは3年間ゼロ。2015年の世界選手権(アメリカ・ラスベガス)にいたっては、66キロ級の泉武志が1勝をあげたのみで、あとは全敗という悲惨なものだった。