2020.06.05

川井梨紗子「馨さんから逃げたと思われる」。
苦渋の決断が生んだリオ五輪の金

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by AFLO

東京五輪&パラリンピック
注目アスリート「覚醒の時」
第17回 レスリング・川井梨紗子
階級を変更した全日本選抜選手権(2015年)

 アスリートの「覚醒の時」----。

 それはアスリート本人でも明確には認識できないものかもしれない。

 ただ、その選手に注目し、取材してきた者だからこそ「この時、持っている才能が大きく花開いた」と言える試合や場面に遭遇することがある。

 東京五輪での活躍が期待されるアスリートたちにとって、そのタイミングは果たしていつだったのか......。筆者が思う「その時」を紹介していく----。

川井梨紗子は62キロ級に変更して全日本選抜に出場した リオデジャネイロオリンピックを翌年に控えた2015年----。6月に開催された全日本選抜選手権の女子58キロ級は、出場わずか3名という"異常事態"となった。

 レスリングには「オリンピック階級」と「非オリンピック階級」がある。オリンピック予選を兼ねた世界選手権への出場権獲得がかかるオリンピック前年の国内大会には、たとえ可能性は低くて、いやほとんどないと思われても、オリンピック階級に出場して夢に挑戦するのがアスリートというものだ。