2020.05.13

井上尚弥の統一戦は夏開催か。
大橋会長が語る現状「本物は生き残る」

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

 150年にひとりの天才――。これは日本ボクシング史に残る才能のひとつ、大橋秀行を形容する際にたびたび使用された言葉だ。

 リカルド・ロペス、崔漸煥(チェ・ジョムファン)といった、今なお語り継がれる伝説のチャンピオンたちと拳を交え、2団体(WBC、WBA)のミニマム級世界王座を獲得。そのDNAは大橋ジムのボクサーたちに引き継がれ、川嶋勝重、八重樫東、井上尚弥、井上拓真(暫定チャンピオン)という4人の世界王者を輩出してきた。

 本来であれば現地時間4月25日、WBA・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥が、WBO王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)との3団体統一戦で"ラスベガスデビュー"を飾るはずだった。新型コロナウイルスの影響で延期になったその一戦はいつ行なわれるのか。また、国内の興行も軒並み中止になるなか、ボクシング界はどうあるべきなのか。大橋秀行会長がインタビューに応じた。

統一戦は延期になったが、トレーニングは順調に続けているという井上 photo by Hiroaki Yamaguchi/AFLO――井上尚弥選手の3団体統一戦が延期された、現在の心境からお聞かせください。

「本音を言えば、残念であることは間違いないです。ただ、3月頭くらいから今のような状況になる可能性は覚悟していました。尚弥にも、『なかなか経験できることではないから、ポジティブに捉えよう』と話しています」

――井上選手の現在の状況は?

「尚弥はすでに気持ちを切り替えて、いつもと同じ精神状態でトレーニングを積めていますよ。私が考える彼のすごさは、技術や身体能力もそうですが、その強靭なメンタルにあります。普通の選手なら、これだけのビックマッチが延期になれば、気持ちがダレたり不安を隠せなかったりする。しかし尚弥は、延期が決まった翌日にはジムに顔を出し、顔色ひとつ変えずに練習していましたから。調子はキープできていますし、体調もいいですよ」