2019.01.24

パッキャオvsメイウェザーは既定路線か。
米識者によるリマッチ実現度

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 現地時間の1月19日、ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで行なわれたWBA世界ウェルター級タイトル戦で、6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)が2019年になって初めてリングに登場した。

 40歳になったパッキャオは、挑戦者エイドリアン・ブローナー(アメリカ)に3-0(117-111、116-112、116-112)の判定勝ち。ひとまわり若い29歳の相手を寄せつけず、ハイレベルな実力を保っていることを証明する結果となった。

WBA世界ウェルター級の王座を防衛したパッキャオ この試合前後、宿敵フロイド・メイウェザー(アメリカ)とパッキャオの再戦が大きな話題になった。昨年末に日本で那須川天心とエキジビションマッチを行なったメイウェザーは、パッキャオ対ブローナー戦をリングサイドで観戦。この一戦の前後には、NBAの試合会場でもふたりが2度にわたって顔を合わせ、「リマッチが計画されているのではないか」という推測を煽っている。

 2015年の初対戦には、約6億ドル(約658億円)の興行収入を叩き出した”世紀の一戦”。その再戦は本当に行われるのか。

 今回はアメリカのスポーツ専門チャンネル『ESPN.com』の人気企画、「5-on-5ディベート」をモデルに、パッキャオ(&メイウェザー)に精通した3人のエキスパートに3つの質問をぶつけてみた。「3-on-3」に参加してくれたパネリストの言葉から、”世紀のリマッチ”の可能性が浮かび上がってきた。

【パネリスト】

ライアン・サンガリア:『リングマガジン』のライター。フィリピン系アメリカ人で、過去10年近くにわたってパッキャオの全試合を取材。ブローナー戦前にはパッキャオのトレーニングキャンプにも帯同した。

ウォーレス・マシューズ:『ニューヨーク・デイリーニューズ』のボクシング記者。35年にわたって『ニューヨーク・タイムズ』、『ニューヨーク・ポスト』、『ニューズデイ』、『ESPN.com』などで健筆をふるい、TV放送のレポーターも務める。自身も元アマチュアボクサー。 

ショーン・ナム:『ハンニバルボクシング』、『UCN.com』などで活躍する韓国系アメリカ人ライター。精力的な取材で構築したネットワークによる内部情報に定評がある。

Q1 ブローナー戦でのパッキャオの印象は?

サンガリア「”40歳の老雄”と”20代の4階級制覇王者”の対戦という背景を考えれば、そのパフォーマンスは印象的だったという他ない。ブローナー戦でのパッキャオは、2017年7月に同じくブローナーを下した際のマイキー・ガルシア(アメリカ)よりも『支配的な強さ』という意味で上だった。パッキャオはこの試合で、依然としてハイレベルで戦えることを証明した」

マシューズ「パッキャオの出来は悪くなかったが、オフェンス面の迫力はメイウェザーと対戦した頃の3、4年前と比べて落ちていたように思う。パンチにはキレがなく押すような感じで、左を打つ際には体が前に突っ込んでしまっていた。それでも、強さと積極性はブローナーを圧倒するのに十分すぎた。ブローナーは勝負をかけることなく、怖がっているような戦い方だった。全盛期の力からはほど遠かったものの、40歳という年齢を考えれば、パッキャオのエナジー、積極性、スタミナは上質だった」

ナム「ほとんどのボクシング関係者がパッキャオ勝利を予想し、実際にそうなった。ブローナーを相手にこれほど支配的な勝ち方をするとは驚きだったね。危うい瞬間もあるだろうと予想されたが、結局、パッキャオにピンチは訪れなかった。今のパッキャオが、テレンス・クロフォードやエロール・スペンス・ジュニア(ともにアメリカ)といったウェルター級のエリートたちと対戦しても、痛めつけられてしまうだろう事実に変わりはない。そうだとしても、全盛期の若い選手たちを打ち負かすパッキャオの姿が見られるのはうれしい。それは5年前には想像もできないことだった」