伊調馨が語る女子レスリングの新勢力図。絶対女王が外から見ると... (2ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「世界選手権が一番盛り上がり、もっとも厳しい戦いとなるのは、もちろん出場権がかかるオリンピック前年です。逆に、オリンピック翌年は実力のある選手が全員揃うわけではありませんし、特に今回は来年からの階級変更(日本は年末の全日本選手権から変更予定)が決まっていて、まだ手探り状態ということもあるでしょう。それでも、出場するからにはしっかり結果を残さなければなりません。

 ましてや、世代交代を狙う若手は掴んだチャンスを確実にモノにし、次のオリンピックに向けての国内選考争いで一歩も二歩もリードしたいところです。特に日本の場合は次のオリンピックが地元開催ですので、『もう戦いは始まっている』という雰囲気が強いですから。

 今大会で日本女子は金メダル4個、銀メダル1個、銅メダル1個を獲得し、強さを世界に見せつけました。残念ながら目標としていた『全員メダル獲得』とはなりませんでしたが、世界の女子レベルも年々上がってきているなか、上々の成績だったと思います。

 女子の試合が行なわれる前に、男子グレコローマンスタイル59キロ級で文田選手(健一郎/日体大)が金メダル――それも世界選手権では日本男子34年ぶりの快挙を成し遂げ、勢いをつけてくれたのが大きかった。あれで女子選手たちは、『よし、自分もあの金メダルを獲るんだ。ヒーローインタビューを受けるんだ。日の丸を上げるんだ』という気持ちになったでしょう。

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