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村田諒太は「月」に行けるか?
ミドル級王者に向けて舞台は整った (5ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 だが、「いつか、いつか」と願うだけのボクサーに、そのいつかが訪れるはずがない。村田はプロ転向を決めた日から、相手が誰であろうと、いつであろうと、それこそ勝算の如何にかかわらず世界戦が決まったのなら、そのリングに立つことを決めていたはずだ。

 そして、言葉尻こそ濁したが、この試合のプロモーションのために出演した某番組で口にした言葉は、本心であり、覚悟だろう。

「負けたら引退ってこともありえるのかな」

 きっと、外野は言い続ける。「昔ほどベルトに価値がない」「運がいい」と。

 そんなすべての雑音を飲み込み、そして、その競技人生のすべてをかけ、5月20日、ゴールドメダリストは有明コロシアムのリングに立つ。

 村田諒太、月へ──。

 そこで踏み出す一歩が、多くのボクシングファンの夢であり、後に続く多くのボクサーの希望となる。

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