村田諒太は「月」に行けるか?ミドル級王者に向けて舞台は整った (2ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 ミドル級をめぐる物語が急激に動き始めたのは、今年3月。

 WBAの正規王者だったダニエル・ジェイコブス(アメリカ)が、WBAスーパー王者でありWBCとIBFの世界ミドル級王者である「現役最強」ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と統一戦を行ない、判定の末に敗れる。その結果、WBAの正規王座が空位となり、ランキング1位のアッサン・エンダム(フランス)が暫定王者に。そのエンダムとWBA2位の村田が、正規王者のベルトをかけて戦うことが4月3日に決定した。

 もちろん、どちらが試合に勝ち、新王者になったとしても、その上にはスーパー王者ゴロフキンが君臨するという不可思議な状況に陥っている。

 歴史を紐解けば、1950年代のボクシング界には10階級・10人の世界王者しかいなかった。その後、団体が増え、さらにWBAには正規王者のみならず、スーパー王者、暫定王者と3つもの王座が乱立。諸々合計すれば、現在は80人以上の世界王者が存在することになっている。

「以前よりもベルトの価値は下がっている」と口にする者はいるだろう。もちろん、そのとおりだ。しかし今回、村田諒太が狙うベルトにその挑戦の価値がないかと言えば、大間違いだ。

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