2016.08.09

無念の銅メダルでも、笑わない中村美里が最後に微笑んだワケ

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

 中村美里にとって北京、ロンドンに続く3度目の五輪は、またしても「金」に届かず、銅メダルに終わった。

「ロンドンが終わってすぐには、リオを考えることはできなかったし、この舞台に立っているとは想像もできませんでしたが……目標を達成できなくて、やっぱり悔しい」

女子柔道52kg級で銅メダルを獲得した中村美里  ロンドンが終わった直後に中村は左膝前十字靱帯の再建手術を決意し、1年以上をリハビリに費やした。NTC(ナショナル・トレーニング・センター)などでリハビリを行なっている間に、同じように五輪を目指す他競技のアスリートと数多く知り合い、親交を深めた。それが「視野を広がることになった」と本人や家族、所属の三井住友海上のコーチ陣は声を揃える。柔道家として五輪を目指す環境がいかに恵まれているかを再認識し、もう一度、金メダルにチャレンジする気持ちが高まった。

「すごく人としての幅が広がった。4年間やってきて、本当によかった。もちろん金メダルは獲りたかったですけど、最後の3位決定戦に勝てたから」

 谷亮子が女王として君臨してきた48kg級の新星として、講道館杯を制したのは2005年、渋谷教育学園渋谷高校1年生の時だった。足技で面白いように相手を転がし、勝ち上がっていった。無邪気に振る舞ってもいい年齢なのに、やたらと冷めた口ぶりが印象に残る16歳だった。