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山本家の最終兵器・アーセンがKIDの思いを背負い、RIZIN出陣 (2ページ目)

  • 布施鋼治●文 text by Fuse Koji 保高幸子●写真 photo by Hotaka Sachiko

 対戦相手──クロン・グレイシーの名前を聞いても、躊躇はなかった。

「1週間くらいで返事は出しました。たぶん4日くらいで答えは決まっていたんじゃないですかね」

 クロンは、あのヒクソン・グレイシーの次男である。伯父にはUFC黎明期に活躍したホイス・グレイシーがいる。山本ファミリーのベースがレスリングなら、グレイシー一族のそれはグレイシー柔術だ。アーセンvsクロンは、山本ファミリーvsグレイシー一族という格闘大河ロマンにもつながっている。

「大会主催者がそれ狙いでこの一戦を組んだことはわかっていたけど、俺らはエンターテイナー。試合は殺し合いだけど、(プロという部分では)お客さんあってのスポーツじゃないですか。みんなが興奮してくれることが一番だと思っているので、それぞれ見たいように見てくれたらいい」 

 27歳のクロンは昨年12月、満を持してMMAデビューを果たし、韓国人ファイターから腕ひしぎ十字固めで一本勝ちしたが、それ以前はグラップリング(組み技競技)に打ち込んでいた。2013年6月に青木真也から見事な一本勝ちを収め、同年10月には「寝技世界一決定戦」と言われるADCC(アブダビ・コンバット)で優勝。

 11月9日に行なわれた記者会見をクロンは欠席したが、代わりに出席した父ヒクソンは「頭で勝負する」ことを強調した。それを聞いたアーセンは「心で勝負する」と言い返した。世界最高峰の寝技の技術を持つクロンに対して、どんな勝負を挑むつもりなのか。「考えに考えた結果」と前置きしたうえで、アーセンは言葉を続けた。

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